そろそろ大統領選以外のことを書きたいとは思うものの、現実の話、黒人研究に携わっているものは、いまだに「バラク・オバマという現象」から離れることができない。
彼の大統領選勝利は、承知のとおり、よく「歴史的瞬間」と言われている。おそらくほんとうの「歴史的瞬間」とはこんなものだろう。
忌憚なく言って、わたしには、場面も内容もまったく違うが、同じく歴史を明らかに劃する瞬間に出会った経験がある。それは昭和天皇崩御のとき。あのとき、右派も左派も、共産党も右翼も、みんな「裕仁という人格の外側」で論じることができなかった。そのときの「歴史のうねり」をふと思い出したりする。
さて、本題に入ろう。新シリーズを「完全解読」とした限りには、冒頭部分を解説しないといけない。単なる「挨拶」にあたる冒頭のところに何か深淵な意味があるのか?、そんな声も聞こえそうだ。
そんな疑念にははっきり答えます。
「おおあり」です。むしろ冒頭部分にこそ、彼の選挙キャンペーンの妙技が濃縮されて表現されていると言ってもいい。
では、こんな場面を想定して欲しい。あなたは目がねをかけている。そして選挙に立候補した。「目がねをかけているあなた」は、冒頭で何と言うか。
【続く】