有権者登録を原則的に実施するのは州政府である。アメリカ合州国は、イギリス帝国に抗して独立を達成した国であることから、建国当初より地方自治の気風が強い。地域の状況は地域の人びとがもっともよく知っているという考えから、有権者登録も州政府が実施することになった。
したがって、その細則は州によって異なることになる。奴隷制廃止後の南部は、このアメリカ政治制度の特徴を利用し、元奴隷に対しては(1)識字テストを義務化する、(2)投票税を課す、(3)暴力(州政府はこれを取り締まろうとはしなかった)を行使する等々を通じ、投票権を剥奪してきた。一般的に、この南部の制度は、公民権運動によって破壊され、黒人は投票権を得たと理解されている。
左の画像は、南部ではなく中西部のミシガン州が配布している有権者登録の方法を記したパンフレットだ。現在は、民主共和両党の予備選も公選とみなされ、州が管理することになっている。
そこでまず1頁左の日程のところに着目してもらいたい。有権者登録の締切は、そう、来週の月曜日なのだ。これを過ぎて突然投票したくなっても、投票はできない。
さたにはまた、選挙運動も、実質としてこの日までに票を掘り起こしてしなくてはならない。この日を過ぎた後は、文字通り「無党派層」を争う闘いとなっていく。
さて、この有権者登録の法律、実は2005年以後急速にひろまったある傾向を部分的に映し出したものである(このつづきは次回)