このところ大統領選挙に関する報道がずいぶんと増えた。ヒラリー・クリントン、バラク・オバマという、当選すればそれぞれ史上初となる候補がいるのが、こんなにも早い時期から関心を集めている理由であろう。
しかしながら、実のところ、アメリカの選挙には、2000年以後、ずっと懸案の問題がある。
それは投票された票をどのようにして数えるのか、投票資格の確認はどうするのかといった問題であり、最初は2000年のフロリダ、その4年後はインディアナ州でおきた。
連邦司法省投票権課が容易した答が、写真付きIDの提示である。問題は、そのIDが有料でしか手に入らないということ。つまり、結果として「投票税 poll tax 」と酷似した形式が復活することになる。ところが「投票税」を課すことはアメリカでは憲法違反である。
この窮状のなかで、公民権課長がジョン・タナーが発したのが、過日ここで伝えた「どうせ黒人は早く死ぬ」というものだ。
『ニューヨーク・タイムズ』紙は、5日の論説文で、さらには近年投票権課がマイノリティの権利保護をないがしろにしているという批判とともに、タナーの罷免を要求した。
さらにまた、それと同時に、情報を操作したり、脅迫をしたりでマイノリティの投票権行使の妨害を行うことを犯罪とする詐欺行為投票権妨害処罰法の早期可決を主張している。ちなみに同法の発案者は、バラク・オバマである。
オバマが当選するためには、当然のことながら、マイノリティの票は必ず全部カウントされなくてはならない。