デス・ロー・レコーズのCEO、マリオン・“シュグ”・ナイトのマリブ・ビーチに面したプライベートビーチも備えた770平方メートルの豪邸が、620万ドルの下限価格でオークションにかけられた。
2Pac、スヌープ、ドクター・ドレーら、ウェストサイドのギャングスタ・ラップ──世代的には Old Skool に属する私はやはりどこか照れてしまって「ウエサィのラップ」とは表現できない──の象徴であったこのレコード会社は、2006年4月に破産宣告がなされており、負債総額は1億ドルにのぼっている。破産宣告のために法廷に出された書類によると、シュグ・ナイト個人の資産は5万ドルしかないらしい。
シュグのこの経済的情況の真偽はさておき、1990年代後半はもっとも勢いのあるレーベルであったこのレコード会社を、かかる情況に追い込んだのは、数々の刑事事件。そのなかには、未だ未解決の2Pac、ノートーリアスB.I.G.殺害事件も含まれる。シュグ自身も、ジャーメイン・デュプリーを脅迫するなど、直接刑事犯罪に関わった。(これらは、Randall Sullivan の LAbyrinth に詳述されている)
過日、歴史的シンボルとしてのモータウン・レコーズの政治的利用に関して批判的論評を行ったが、デス・ロー・レコーズの行きついた場所を考えると、やはりベリー・ゴーディが築いた業績は光輝いている。シュグの現状を考えると、そしてそれまでの過程を考えると、悲しくなってくる。