日本時間22時31分、公民権運動が生んだ巨星のひとりがまた亡くなりました。あまりにも続く訃報に、かなり強いショックを私は受けています。
キング博士の夫人で、キング博士暗殺後は自分自身が活動に身を投じた人物であるコレッタ・スコット・キングが、カリフォルニア州サンディエゴから20マイルほど南、メキシコにあるホスピスで息を引き取りました。享年78。
キング博士の「右腕」で国連大使やアトランタ市長を務めたアンドリュー・ヤングがテレビ番組で語ったところによると、コレッタ・スコット・キングは、眠るように息を引き取ったそうです。昨年の8月に脳梗塞で倒れ、その後は、1月初めにチャリティ会場に姿をみせたのみ、今年のキング・ホリデイの祝典も欠席していました。
彼女は、「偉大な指導者」の妻「だけ」だった存在ではありません。キング博士が凶弾に倒れたわずか3日後、博士がそのときに従事していたメンフィス清掃労働者のデモ行進の先頭に立ち、周囲を驚かせたのは彼女です。その後、夫が創設した公民権団体、南部キリスト教指導者会議だけでなく、全米女性機構の理事も務めました。
トゥーキー・ウィリアムスの処刑があった今日から考えると、極めて意味深長なことに、自分の夫を殺害した廉で死刑判決を受けたジェイムス・アール・レイが求めていた再審請求を支持したのです。復讐ではなく真実を求めている、そう語り。
ジョージア州知事(白人)の判断で、ジョージア州は、彼女の告別式が行われる日まで、半旗を掲げます。
かつてイギリスのセントポール大聖堂で説教を行ったときに彼女はこう語りました。「今日の世界にみられる悪、破壊された秩序、混乱を前にすると、多くの人が絶望感をもちます。しかし、わたしには、あらたな社会秩序とあらたな時代の夜明けが見えるのです」。
キング博士も、暗殺される前日に、同じようなことを言っていました。いま、二人は「約束の地」で出会っているでしょう。
コレッタ・スコット・キングの冥福を祈ります。