連邦上院の委員会、Government Accoutability Officeが、ハリケーン・カトリーナの対応を調査した最初の報告書を発表した。
この災害について、Federal Emergency Management Agency (FEMA)のマイケル・D・ブラウンが主たる批判の対象になっていた。もっとも、ニューオーリンズ第9区の掘っ立て小屋より、スーパードームの避難所のほうが素晴らしいなどと破廉恥な発言をしたブッシュ夫人という「ライバル」がブラウンにはいたが、政治的責任のありかとしてはもっぱらFEMAが告発されることが多かった。ところが今回の報告書は違っていた。
9・11テロ後、ブッシュ政権が危機管理の立て直しの主眼として行ったものに、国家安全保障省の設立というのがある。あのテロのとき、国家の命令系統が寸断されてしまった、FBIとCIA、ニューヨーク消防署・警察署のあいだにコミュニケーションがなかったということが反省され、この省が設立されたのである。個人の権利を蹂躙すると批判されている強大な国家権力を持ち…。
ハリケーン災害を調査した報告書は、民主・共和両党の委員の意見として、その国家安全保障省長官マイケル・チャートフの責任を問うた。それも当然である。今回の自然災害にあたり、連邦、州、ニューオーリンズ市のあいだにコミュニケーションが確立されてなく、その反対に責任の「たらい回し」をしたのだから。
この報告に喜んだのが、何とこれまで酷評されてきたブラウン。自分の上司の責任が追及されたからには、もはや批判の矢面に立たなくても済む。
一方、国家安全保障省長官の上司、つまりホワイト・ハウスの主はどうか。ホワイト・ハウス報道官は、この報告書に関し、こう語った。「国家安全保障省および政府のその他の機関、つまりその他の機関とは言ってもホワイト・ハウスは含まれないのですが、いずれにせよホワイト・ハウスを除く政府の機関が、災害救援でリーダーシップを発揮するべきでした」。
責任転嫁はまだ続く。
連邦上院の調査の進展を見守ろう。