コレッタ・スコット・キングの葬儀の詳細の一部が決定した。
アトランタ市郊外にあって、末娘のバーニス・キングが牧師を務めているニュー・バース・ミッショナリー・バプティスト教会で葬儀が、来週火曜日に開催されることになった。月曜日は、音楽を大学で専攻していた彼女の生涯を振り返る意図を込め、キング家が代々牧師職を務めるアトランタ市内のアビニザー・バプティスト教会で、音楽会が行われる。
なお、ジョージア州知事は、ジョージア州議会議事等で、市民とのお別れの会の開催をキング家に申し入れ、この土曜日にその会が開催されることになった。白人優越主義者が州政府を掌握していた1968年、キング博士の葬儀のときはこのような行事ななかったのだが。
そのような人種的和解の陰で、『ワシントン・ポスト』によると、共和党員の州知事と黒人州議会議員、公民権団体との対立の模様を報道している。知事は写真付きのIDを選挙投票のときに携行することを求める法改正を提案、それに対し黒人政治家、公民権団体は、法改正はジム・クロウ時代への逆行だと非難している。私見では、この改正案が通過すると、黒人の投票率はいまよりさらに低くなる。キングが命を賭した運動の成果のひとつ1966年投票権法は、したがって、骨抜きにされる。
キング博士の棺は、彼の業績を記念し、将来の活動家の訓練施設ならびに研究者のための史料文書館として建設されたキング・センターの中庭の公園の池の上にある。その横に、コレッタ・スコットが並ぶことになるという。
『ニューヨーク・タイムス』は、葬儀会場の選択のことを、1万人の会衆を収容できる郊外の大教会になったことは「サプライズ」と見出しで報じた。公民権運動を知る多くのものにとって、会場はアビニザー・バプティスト教会が会場になることはまちがいないと思われたからだ。キング家側近のものの見解として、アビニザー・バプティスト教会が狭いことを理由にあげている。葬儀への参加者は、5000名を下らないと見積もられているが、キング博士の葬儀がアビニザーで行われたことを考えると、少々奇妙に思える選択である。
おそらくあの頃から、良くも悪くも多くのものが変わったのだろう。そしてまたおそらく、これが最後の「60年代公民権運動家」のhomecoming gatheringになる。現在の政治社会的情況は新たな政治運動の幕開けを待っている一方、ひとつの時代がいま確実に終幕を迎えようとしている。