ニューオーリンズの不動産市場が過熱状態にあるらしい。それは、ハリケーン直撃直後ではまったく考えられなかった規模になっている。
例えば、ミシシッピ川の西に拡がるウェスト・バンク地区では、ある不動産業者によると、昨年11月の売り上げは、対前年比99%の上昇を示したらしい。隣接郊外になると、さらに活況状態は激しくなる。市の西側の郊外では、対前年比189%を記録した。
しかし、この活況は、想像がつく人びともいるに違いないが、洪水の被害を受けた場所ではなく、そもそもハリケーン被害のもっとも少なかったところにかぎられている。
実のところ、不動産市場を加熱させているのは、復興計画が未策定のままでは自分の持ち家の将来がどうなるのかわからないので、「第2の家」を買おうとしている人びと。
この情況を見て、地元の不動産業者は、「待った甲斐があったってものだ、やっと(災害保険の)チェックが届いたんだよ」と述べている。
もちろん、もっとも被害の激しかった第9区は、もっとも保険加入率が低く、その逆に失業率が高い。「第2の家」など望むべくもない。
このようななか、連邦政府は被災者への支援の打ち切りを矢継ぎ早に発表している。何もかもビジネスに任せたらどうなるのか、その残酷な矛盾がいまニューオーリンズに現れている。