ベテランの黒人シンガー、ハリー・ベラフォンテが、ブッシュ政権を酷評。彼は、ブッシュ政権をナチになぞらえ、こう述べた。
「国家保安省という名称の装いを新たにしたゲシュタポが、こっそりとスパイ活動をして回っている暗い時代に突入してしまった。市民の立憲上の権利が停止状態にあるのだ」。
さらには続けてこう述べた。
ブッシュは「かなり怪しい経緯を経て権力を獲得し(2000年大統領選挙のことーー筆者注)、この国の国民に嘘八百を並べ、国民を過った道に導き、過った情報を伝え、数十万人にのぼる我々の子供たちを、我々を攻撃したことのない国への侵略のために送りだした」。
ブッシュはこう言われても仕方がないだろう。2000年大統領選挙の結果は、その後の調査が明らかにしているところによると、ゴアが勝利者。さらにイラク戦争開戦前のいわゆる「大量殺戮兵器」の情報に関しては、それが間違ったものであると公式に認めている。
そんなブッシュを、ベラフォンテは、「世界でもっとも凶悪なテロリスト」と呼んでいる。
ベラフォンテがここまで怒るのも無理はない。彼は、公民権運動の最盛期、学生非暴力調整委員会やブラック・パンサー党など、急進派を熱心に支援した。一級のエンターテイナーであった彼は、相当の額の資金援助を行っている。
しかし、その公民権運動急進派は、政府から破壊されてしまった。そのときに行われたのが、市民のプライバシーの権利を蹂躙して行われたスパイ工作である。そして、9・11テロ後に制定された「愛国者法」は、このスパイ工作を合法化してしまったのだ。
ベラフォンテは、だから、十分承知している。この政権がいかに危険なのかを。