1968年から1972年までモータウンの本社として使用されていたデトロイト市にあるビルが解体された。2月5日に同市で開催されるスーパー・ボウルのための再開発事業のひとつとして、この街を活気づけた場所が消えゆくことになったのだ。(ベリー・ゴーディ元社長は、この事業を支持しているという)。
アメリカの行事では最大級のものの一つ、スーパー・ボウルを誘致するにあたり、デトロイト市は、その経済効果を3億ドルと見積もっている。この試合の観戦、そしてそれに伴うお祭り騒ぎのためにやってくる人は10万人を予想。
しかし、そもそもこの街の産業の根幹だった自動車産業は、未だ不況に苦しんでいる。今月も、フォード自動車は、同市にある複数の工場の閉鎖と3万人の解雇を発表したばかりである。同市の失業率は6.8%、ニューオリンズに次いで全米都市ワースト2位であるのも、無理はない。
このように産業の基盤が70年代以後完全に破壊されてしまった街には、10万人が訪れようとも、ホテルが十分にない。有名なホテルチェーンでダウンタウンにあるものは、リッツ・カールトンだけである。
多くの観光客は、したがって、郊外にあるホテルに泊まり、ゲームに併せて「8マイル・ロード」を越えて都市中央部にやって来る、ゲームが終わるとすぐに去ることになる。そのための道を空けるために、モータウン旧本社ビルは解体された。
これでデトロイトはかつての光を取り戻せるのだろうか?