ブラウン大学の社会学者が、驚愕する予測を発表した。
もしハリケーン被災地が再建されず、貧困者へ政府が支援を行わないとすれば、黒人市民の80%がニューオーリンズに帰ってこなくなる可能性が高いらしい。
この数値は、国勢調査資料データと被災地の地図の分析から導きだされたものである。災害の程度が中位以上のもののなかに黒人が占める比率は75%、そのうち29%貧困ライン以下の所得しかなく、失業率は10%を超えていた。したがって、転居至近の援助がなければ、そのまま現在避難している場所に居続ける可能性が高い。
また、ニューオーリンズに帰れなくなる白人も50%にのぼる。
その結果、災害直前に48万人だった同市の人口は、14万人まで急減することになるらしい。
なお共和党議員でさえも、復興公社を設立し、連邦政府が再建事業に積極的役割を担うことを求める法案を提出しようとしているが、行政府の反応は良くない。ブッシュ政権は、公社をつくると公務員が増えるという理由で反対し、復興の中心はあくまで「民間」にするという方針を堅持している。「民間」が儲からない復興事業に乗り出すであろうか?
ニューオーリンズは、19世紀の一時期、ニューヨークやボストン、フィラデルフィアを凌ぎ、一時期全米一の人口を誇った時期がある。その街がいまやなくなろうとしている。