1960年代後半から1980年代にかけて活躍した黒人のコメディアン、リチャード・プライアーが死去した。享年65。またひとり、公民権時代を生きた世代の黒人著名人が亡くなった。
ここのブログで、ビル・コスビーのヒップ・ホップに対する批判を紹介したことがある。プライアーは、コスビーとは異なり、人種主義を赤裸々に描くことで人気を博したコメディアンである。1974年に発売された彼のコメディを録音したレコードのタイトルは、コスビーが嫌うことばを使ったもの、『あのニガーはクレイジーだ』である。
そんな彼はこんなことを言っていた。
最初のブラックスプロイテーション・ムービーが現れた頃:
「映画に行って、黒人のヒーローが観たくてたまんないんだ。そのうち、テレビの画面にも黒人のヒーローが映し出されると思うよ。あっ、ほら、空を見ろ。黒いカラスがいる。いや、まちがえた、コウモリだ。いやいや、ありゃ、スーパー・ニガーだ。高いビルもひとっ飛び、臓物(チトリン)の入ったボールも一口で丸呑み」
常日頃、黒人ゲトーでみかける人びとのことをコメディで語り、テレビや映画で演じ、彼は議論の的になっていた。そんな彼はこんなことも言っている。
「真実っていうものは笑いを誘うものなんだ。だけど、人びとはそんな真実を恐れているんだ。この世界でいちばん悪いものは嘘。だから、芸術とは真実を語る能力のことを指す。特に自己了解についての真実を語る能力のことをね」。
ここまで書いて、なぜだか2Pacのことが頭に浮かんだ。
そして、マルコムXのことが…。