いよいよ7日にニューヨーク市長選挙が迫ってきた。もうテレビ討論会も終わり、実質上の選挙戦が終了した。
もっとも最近の世論調査では、現職で共和党のブルームバーグが、初のプエルトリコ系候補で民主党のフェルナンド・フェレールを、59%対31%の大差でリード。大きな狂いやハプニングがない限り、ほぼ勝敗は決まってしまった。
ラティーノ(ヒスパニック)という「人種」集団は、政治的には多種多様な傾向をもつ(共和党右派のキューバ系、民主党リベラルのチカノ・プエルトリコ系、等々)ので、フェレールが人種意識に訴えることはもとより無理だったのだろう。
さらに興味深いのが黒人票の行方。
なんと1936年以来初めて、共和党支持が上回っているのである。(ブルームバーグ支持51%、フェレール支持42%)。
「警察暴力」や「人種別プロファイリング」を「野放し」にした前職のジュリアーニと異なり、ブルームバーグは共和党のなかでも「中道」に位置していた。それが強い影響をもったのは否めない。しかしそれ以上に、もはや黒人という集団が、内部に多様な差異を抱えるようになってしまったため、共和党保守派流の小さな政府志向を強める人びとが増えてきたのだろう(ライスやパウエルのような人びとが、ここですぐに思い浮かぶ)。
たとえば、ハーレムの目抜きどおり、125丁目の地下鉄駅で、フェレールは、元市長で黒人のデイヴィッド・ディンキンズ、市民活動家アル・シャープトン、黒人女性でブルックリン区長のC・ヴァージニア・フィールズとともに演説を行ったらしいが、立ち止まる人びとは少なく、かえって迷惑と思われたという話が報道されているくらいだ。かつては、白人候補がハーレムを訪れるだけで話題になった。それはもう遠い過去の話になりつつある。
さて、月曜日いかなる結果が出るだろうか。