ご存じの方も多いだろうが、ニューヨーク市長選挙では共和党現職のマイケル・ブルームバーグが勝利した。しかも、2位になった民主党フェルナンド・フェレールに得票率で20%もの差をつける圧勝で終わった。
興味深いのが、人種別の投票の動向。3期前のニューヨーク市長選挙で、共和党候補のルドルフ・ジュリアーニは黒人票の約5%しか獲得できなかった。それに対し、今度の選挙では、ある分析結果によると、ブルームバークは、黒人票の半数近くを獲得したという。
さらには、ブルームバーグはプエルトリコ系のフェレールに流れるとみられたラティーノ票の30%も獲得している。
これは選挙前の予想がそのまま当たった形になった。
人種やエスニック集団内部の多様化が進んだため、もはやこれらの人間の属性は政治行動を予測できる決定的な因子にはならなくなっている。
さて、ここで相反する二つの展開が見えてきた。メキシコ湾岸地区のハリケーン被害の際には、世論が人種によってまっぷたつに分かれているのが判明した。今度は、人種が政治行動を決定しないことが判明した。
ここでせめても確実にわかることは、多人種社会のアメリカはいま岐路に立っているということである。