久々に自分の庭、2Pac関連の最新ニュース。
ジョージア州選出の連邦下院議員シンシア・マッキニーが、(1)政府が所有している2Pac関連の情報の公開、(2)国立公文書館に2Pacのレコードコレクションを創設すること、を要求する法案を提出した。
死後10年経ってもまだ続く彼の人気を考えると、(2)はとりわけて説明いらないだろう。興味深いのは(1)の方である。
マッキニーは、2Pacが銃殺されたとき、政府が監視下に置いていたと考えているらしい。これまでも2Pacの殺害については政府陰謀説が浮上したことがあるが、真相究明に連邦議会議員が動いたのはこれが初めてだ。
ところで、彼の母、Afeni Shakurは、ブラック・パンサー党員だったことで有名である。さらには、Afeniの場合は、「黒人急進派を懐柔させるか、さもなくば抹殺する」ことを目的とした悪名高いFBIの監視監督弾圧作戦COINTELPROの標的となり、冤罪に問われた。(COINTELPROやAfeni冤罪事件の詳細は、筆者のサイトの業績のコーナーで論じています)。
このことを鑑みると、シンシア・マッキニーは、COINTELPROのような作戦がその後も継続しており、きっと政府は何らかの秘密を握っているに違いない、と思っていると考えられる。その実、彼女には、2002年にも、同じくCOINTELPROの標的となっており、FBIから様々な嫌がらせを受けていたマーティン・ルーサー・キングに関する秘密書類の即時公開を求める法案を提出した議員活動歴がある(ちなみにその法案は、可決されなかった)。
これはブラック・パンサー党研究者の会合で、パンサー党員の法廷闘争に弁護士として加わった人から聞いたことであるが、COINTELOPRO関連の書類の公開を情報公開法に則って要求しても、望みのものを手にいれるのに最低10年はかかるらしい。しかも今や、情報公開の原則を踏みにじる愛国者法が存在し、かつては非合法だと宣せられたCOINTELPROと同様のことーー罪を犯していないものの生活を監視することーーはやりたい放題の情況にある。
このような事情を考えると、マッキニーの法案はおそらく可決されないであろう。それがいかに「真実」を知るのに重要であろうとも。
そしてまた、このような情況が存在するかぎり、ことあるごとに政府の陰謀説が流布するーーたとえば、政府は、ニューオーリンズの観光地区を守るために、第9区近くの河岸壁を爆破したーーことは避けられない。
マーティン・ルーサー・キングの夫人、コレッタ・スコット・キングは、このような歴史の闇を照らしだすために、関係者の特赦を前提にした調査の実施を主張している。これは、南アのマンデラ政権が行ったこと、真実究明委員会の審議にヒントを得たものだ。アメリカにも確かに真実究明委員会が必要である。それはキング暗殺、パンサー党の弾圧の過程を確実に明らかにしてくれるだろうし、さらには2Pacの殺害をも照らしだすかもしれない。