50年前にバスの人種隔離に挑んだ女性ローザ・パークスが先日亡くなった。
訃報を告げる新聞各紙は、彼女が「最初に」白人に席を譲るのを拒否した、と説明していたが、史実はこれとは異なる。彼女が、そうしたほんの少し前、場所も同じアラバマ州モントゴメリーでは、クローデット・コルヴィンという名の女性がまったく同じことをしていた。
しかし、歴史の流れのなかで「公民権運動の母」と呼ばれるまでになった彼女の最後の告別式が、この度、ワシントンD・Cの連邦議会議事堂で開催されることになった。政治家や軍人ではなく一般市民の葬儀がここで行われるのは、これが正真正銘史上初めてである。
葬儀のために、パークス夫人の亡骸はボルチモア国際空港から首都に入る。この空港は、現在、サーグッド・マーシャル空港と呼ばれている。サーグッド・マーシャルとは、モントゴメリーバス・バス・ボイコットよりも法制面での衝撃が大きかった、人種隔離を違憲とする判決を闘った黒人弁護士で黒人初の連邦最高裁判事の名前である。
その空港から運ばれた棺への最後のお別れの式、現地時間月曜日の7時から10時まで。
「国のための貢献」が讃えられるという。
ずいぶんと暗いニュースが多いなか、これはある意味で嬉しいニュースだ。「愛国心」を示すにはいろいろな方法があるということ、それを公的に認めてくれたのだから。
ローザ・パークス夫人は、人種隔離条例という法律違反を行った。それで讃えられることになった。つまり、時には、政府が定めた法律に逆らうことが愛国心の表現になるのである。