このブログで紹介したMillion More Marchが先週末実施された。
主催者は80万人の参加を予測していたし、わたしのもとに届いた映像を見るとワシントンのモールはほぼ人で埋め尽くされていた。さらに、今回は、10年前の行進にも参加していたジェシー・ジャクソン・シニアにアル・シャープトンに加え、前回は男性に参加者を限定した行進は性差別にあたるとして協力を拒否したとNAACPとNULの会長も参加した。
カトリーナ災害を受け、久しぶりに黒人活動家の統一戦線が張られたのである。
しかし、前回の行進が日本を含め全世界に衛星中継されたのに対し、今回の報道はきわめて限られている。
『ワシントン・ポスト』の記事によると、「真剣な政治デモというより、フェスティバルのムード」があったらしい。1963年のワシントン大行進のとき、それを「ピクニック」「茶番劇」といって揶揄したのはあのマルコムXだった。ふと、このエピソードを思い出してしまう。
実際の反響など、これから追跡調査しなければならないことは多いが、それでも確実にこれだけは言える。アメリカ社会を動かすには、残念ながら、至らなかった。
他方、ブッシュ政権は、ハリケーンで被害を受けたメキシコ湾岸地域の「復興」のために大きな財政支出が必要だということを理由に、歳出「カット」に踏み切った。福祉予算をカットしたのである。さらにまた、高額所得者に対する減税も行おうとしている。再建には好景気が必要で、それは富裕者を優遇しないと訪れないとする破綻したレーガノミックス政策をまだ続けようとしている。さらには、最低賃金の一時凍結を実施した。これも「復興」を早くするためらしい。
富裕者の生活は「復興」される。貧困者の生活はもとには戻らない。