復興されたニューオーリンズからジャズが消えるかもしれない。
そのような危惧が聞こえ始めた。そう語ったのは、ジャズ一家といて有名なマルサリス家のジェイソン・マルサリス。彼はこう述べている
「ニューオーリンズの音楽とは、そこに生きている人びとのことを語ったものなんだ。これで古い家は取り壊さなくちゃならなくなってしまった。そうすると、水が消えてなくなると同時に、この地の文化も消えてなくなるかも知れない」。
ある文化史家は、ヒップホップの精神とはジャズの精神と同じだと規定している。ストリートの音、それこそ、これらの音楽文化の核にあるものだから。
もしニューオーリンズ再開発が、観光業と大規模商業施設誘致に終始すると、ジャズの文化を育んだ裏通りalleyが消えてしまう。そうなると、ニューオーリンズはもはやニューオーリンズではなくなる。
昨日より、ビジネス関係者を中心にニューオーリンズへの立ち入りが許可された。ビジネス先導で復興が行われると、まちがいなくalleyは消えていく。(ちなみに、ナット・ヘントフもそう言っている)。
そうなるのを避けるためには、復興がかつてその地に住んでいた人のため立案され実行に移されるように監視していくことだろう。
少なくとも、いまこの約200年間で初めて、この街から音楽、音が消えた。ネーギン市長ーー連邦政府の対応の遅さに苛立ち、退去命令を出す会見で泣き崩れた人物ーーは、来年のマルディ・グラは予定通り行いたいと語り、「凄い」awesomeジャスのパレードでその祭りを締め括ろうと声を上げている。
ジャズが生きるにはalleyが必要だ。いまはネーギン市長を信じたい。