このブログではこれまで幾度か登場してきている元NAACP会長のクウェイシ・ムフーメが、ボルチモア州から、2006年の連邦上院議員に立候補することを表明した。
彼は、NAACPの会長になる前には、同州の連邦下院議員の職を務めていたし、黒人連邦議会議員連盟の会長を務めたこともある。
しかし、この度は、状況が大きく違う。
下院議員は州を細分化した小選挙区をつくり、議員を州の人口に比例して割り当てる方式をとっている。したがって、その有権者の姿は、たとえば「都市部」だとか、たとえば「農村部」だとか、極めて同質性が高いものになる。事実、ムフーメは、都市部のボルチモアから選出されていた。
都市部でのマジョリティは、現在、アフリカン・アメリカンとラティーノよりなる。したがって、アフリカン・アメリカンが議員になれる確率は、アメリカの居住区が現在のように「人種」によって分断されているかぎり、極めて高いことになる。
ところが上院は州全体がひとつの選挙区である。アフリカン・アメリカンは、アメリカのどの州にあっても、マイノリティだ。したがって、上院議員選挙に勝つためには、人種の壁を越えた連帯をつくりだすことが必要不可欠だ。より明確に言えば、白人票を取らなければ、選挙に勝利できないのである。
今のところ、南北戦争直後に上院議員が「指名」されていた一時期を除き、この職に黒人が当選した前例はない。
報道によると、ムフーメの「根回し」は順調に進んでいるらしい。2006年が楽しくもあり、心配でもある。