ほんとうの「ミシシッピ・バーニング」ーー正義へ1歩前進
ついに公民権運動史上もっとも残忍な殺害事件の犯人に司直の手が及んだ!。
1964年、ミシシッピ州ネショバ郡で、有権者登録運動を推進していた人種平等会議(CORE)の活動家3人が、保安官に交通違反で逮捕された後、KKKに身柄を引き渡されリンチで殺害されるという事件が起きた。
この事件は映画『ミシシッピ・バーニング』のモデルとなった事件である。だがしかし、映画は肝腎なところで史実を誤って伝えた。否、公民権運動家が激怒するかたちに脚色したのである。
第一に、映画ではFBIが大活躍するが、これはまったく史実と反していた。公民権運動家やミシシッピ州の黒人は何度もFBIや司法省に保護を求めたのだが、拒否され続けた。その結果リンチ事件が起きたのである。
第二に、映画では、獅子奮闘するFBIが犯人を逮捕し起訴するのだが、これも史実とは異なっていた。3名を殺害したのにもかかわらず、有罪判決をうけたものはごくわずか、しかも殺人罪ではなく、公民権侵害で起訴され、六年以上の懲役に服したものはいない。
しかし、ミシシッピ州警察が、この度、この「悲劇」の解決に向かって大きな一歩を踏み出した。
三人をリンチしたKKKのリーダー、エドガー・レイ・キレン(Edgar Ray Killen)を殺人罪で逮捕、大陪審も起訴を決定したのである(なお60年代の捜査では、「陪審員全員が白人の大陪審」が審理し、不起訴処分に終わっていた)。
当時、ボランティアとして運動に参加していた黒人女性の大学生は、この事態の急転に関して、こう述べている。
「ありきたりのことだけど、こう叫んだわ、ついにやったのよ!って」。
さらに、リンチ事件が起きる日まで三人と行動を共にした公民権運動指導者のひとりで、現在も南部で活動に従事しているローレンス・ギヨーはこう述べる。
「生きてこの日を見てやる、そう祈っていきてきました。このために闘い続けてきたんですから。夢にさえみたくらいです。それがやっと現実になりました。これでミシシッピ州当局はこう断言したことになりますーーこの州において、二度と再び、政治的暗殺を許容することなどあってはならない」。
さらに同じく運動指導者のひとり、ヒーザー・トビアス・ブースはこう語る。
「これから得た教訓がありますかって?、それだったらこういうことです。正義を求める闘いはいまも続いている。団結すれば、歴史を変えることだってできる」。
ここにくるまで実に長い時間が経った。そのため、殺害された大学生の母親は80歳代になっている。それでも確かにミシシッピの歴史の大きな部分が書き換えられ、そうすることで歴史が変わった。
なお、キレン容疑者(左写真)は無罪を主張。さらに公判が行われた裁判所には、爆破予告さえあった。
だからこそ、もう一度このことばを胸に刻まねばならない。世界がこんなにも暗いからこそ。
「団結すれば、歴史を変えることだってできる」
ミシシッピ公民権運動を鼓舞したゴスペルにこんな節がある。
This little light of mine, I'm gonna let it shine, let it shine, let it shine, let it shine!
*遅れましたが、あけましておめでとうございます。今年も頑張ります。*