11月2日、大統領選挙に併せて、南部アラバマ州では、義務教育を規定すると同時に、人種別の教育を命令した州憲法を改正する住民投票が採択に付された。
わたしは、2004年においてもまだ人種隔離を命じた憲法が存在していることに驚いた。
さらに驚きは、投票の結果。
2000年大統領選挙、2004年大統領選挙よりずっと僅差ではあるが、1850票差で、改正の提案が否決されたのである。
提案に反対していた団体の長は、人種隔離の規定よりも、義務教育を規定したところに反対の力点を置く。これがあっては、連邦裁判所から教育予算の増額を命令され、ひいては増税につながるというものだ。
『ワシントン・ポスト』紙の記者、トマス・エドサルの著書に、アメリカにおいては、税金論議に「人種問題」が影響を与えていると指摘する。つまり、福祉や教育の充実など、増税につながりかねない支出の増加は、「黒人への支出」を意味するのである。
それでもひとつ事実は変わらない。アラバマ州憲法には未だに人種隔離教育を命じた条文が存在する。