ジョージ・W・ブッシュが、公民権団体NAACPの年次大会の招待を拒絶し、NAACP幹部から批判されたことについては、このブログでも伝えてきた。
信じられないが、どうやらその「ツケ」がまわってきたようだ。
NAACPはNPOとして登録されており、それゆえに政治活動はできないことになっている。10月29日、国税庁は、NAACPが法律で禁止されている政治活動を行ったとして、捜査を開始した。
問題となっているNAACP大会は6月に開催されているのに、大統領選挙投票日のわずか4日前にである!。
NPOという概念は日本では新しいが、アメリカでは古くから存在する非課税非営利団体の規定である。NAACPは、これまでも何度も、公民権政策に敏感な民主党候補の支援活動を行ってきた。しかし、それが問題となって捜査対象にされたことは一度もない。
また政府から政治活動をなかば「強要」され、それに従順にしたがったこともある。冷戦の時期、共産党活動家を団体から追放したのだが、ある政治信条を叩き出す行為を「政治活動」と言わず何と言おう。だが、このとき、国税庁は何もしなかった!。
以下にNAACP執行委員長ジュリアン・ボンドの声明を緊急掲載する。
「NAACPは、政策論議をしたのであり、政治活動をしたわけではありません。大統領選挙投票日前夜にNAACPを黙らせてしまえ、これはそんな行為にほかななりません。なぜなら、アフリカン・アメリカンの有権者登録に関していえば、わたしたの団体がもっとも活発に行動してきたというので有名だらからです。明らかに、これが国税庁のなかの誰かには気に入らなかったのです。大統領の批判は許されない、とか、大統領は無謬であるとかいった類のことが現実になるとすると、それはジョージ・オーウェルが描いた全体主義国家と同じになります」。
ボンドとまったく同意見である。わたしはいまアメリカで起きていることがまったく信じられない。