7月10日から15日まで、公民権団体のなかでも最古の歴史を持ち、最大の会員数を誇るNAACPがフィラデルフィアで年次大会を開催した。今年の大会は、大統領選挙の年であるゆえに、その意味も大きい。
さて、NAACPは昨年12月の段階でブッシュに招待状を出していたのだが、彼は出席を断った。理由はスケジュールがあわないからだそうだが、このような言辞は、文字通りとることはできず、普通、出席の意志がない、つまり拒否の意志を表明したと解される。
時遡り、2000年大統領選挙。このときばかりはブッシュ候補は勇んで大会に参加し、保守的といわれる共和党のなかにあって自分はマイノリティのことに強い関心がある「哀れみ深い保守主義者compassionate conservative」であると語った。
ところが、ブッシュの公民権における政策はきわめて評価が低い。否、批判されることはあっても評価されることはない。
その自分の姿に忠実に今回は大会参加を拒否し、NAACPの面目を潰しにかかったのだ。過去70年の歴史のなかで、NAACPの年次大会に一度も参加しなかった「現職大統領」は彼だけである。(ちなみにクリントンは、8年間のうち7回参加した、欠席した回は外遊中)。
さて問題はブッシュのこのような行動にNAACPがいかなる対策をとるか、である。マイノリティの票でも、効果的に動員すれば、団結票の重みとして選挙戦を左右できるし、これまで何度も左右してきた。問題はここのところ黒人の投票率が低迷していることだ。
したがって今年の大統領選挙は、また、NAACPは一般の黒人の支持を得ているのかがわかる、同団体にとっても大きな試金石となる。はたしてNAACPは、かつてのように、黒人票を動員できるのだろうか?。