民主党から大統領候補に指名されることが確実になっているジョン・ケリー上院議員が、黒人票獲得に向けて動き始めた。
この6月は、アメリカ南部の人種隔離制度に終止符を打った公民権法が議会で可決されてから40周年にあたる。ジェシー・ジャクソンが長を務める団体PUSH/Rainbowが開催した記念集会にケリーが参加。
それでも彼の選挙戦に対する黒人からの不満の声は多い。わけても前の二人の候補、クリントンとゴアが、南部出身ということもあって、選挙戦の枢要な位置に黒人を登用していたのと比較され、候補側近に黒人がたった一名しかいないという点は、しばしばケリー批判として聞こえる声だ。
さらに、ケリーは、PUSH/Rainbowの集会で、2500億ドルの予算を高等教育の特別予算とし、貧困家庭出身者が大学に進学しやすいようにするとの公約を語ったが、わたしはいま最も切迫している黒人の情況に、この施策の効果は乏しいと思う。より重要なのは、ほぼ教育機関として成り立ってさえいない、初等中等教育の改善にある。
他方のブッシュは、コンドリーザ・ライスとコリン・パウエルの登用を、「黒人に対して開けた共和党」のシンボルとして喧伝してきた。しかしながら、過去3年間、ブッシュは、黒人から実際に支持を得ている公民権団体の指導層とは一切会わなかった。
とすると当然、ブッシュよりは「まし」という声があがることになる。しかしブッシュより「まし」でない候補などいるのだろうか?