なぜ反戦か ?
まず、わかりやすさを優先し、わたしが反戦の根拠を箇条書きに明示する。
(1)まずは何より、テロを支援する「無法者国家」に対する「先制攻撃」、いわゆるブッシュ・ドクトリンは、ウェストファリア条約以後、数世紀にわたって存在した国際社会の秩序を破壊するものである。
(2)アメリカは、フセイン政権がアメリカにとって脅威であることを証明できなかった。4月27日現在、「大量殺戮兵器」は見つかっていない。
(3)「テロとの戦争」に勝とうと思えば、「戦争」は比喩として捉えなくてはならない。軍事力の行使は、将来のテロリズムの頻発の可能性を高めることにしかならない。この事情は、パレスティナのイスラエル占領地のことを考えれば、国際法や心理学の知識は必要ない、誰にでもわかる。
ここで断っておきたいことがある。わたしは、いかなる場合においても戦争はいけないものだ、というナイーヴな平和主義を信奉するものではない。戦争が必要とされるときはある。しかし何だ、これだけか、これならもうテレビでずいぶん他のひとが「解説」した、と思われる方も多いだろう。わたし自身、以上の理由が、同じ理由を語っていたものたちのそれと、内実が大きく異なるのかというと、そうではないと思う。ならば、以下では、「バグダッド陥落」後、米英の「勝利宣言」なし、という情況下において、それでも反戦を主張することの意義を示したい。